C++ 基本・派生クラス間の変数オーバーライド

基本クラスとその派生クラスに同じ名前の変数がある場合は、
どのようにして使い分ければ良いでしょうか?

例えば、基本クラスにint型のdata変数があったとします。
そして、その派生クラスにも、int型のdata変数があったとします。

こういう場合、基本クラスのdataが、
派生クラスのdataによって上書きされ、
見えなくなります
これをオーバーライドと言います。

しかし、オーバーライドされた基本クラスの変数に
アクセスする事も可能です。

オーバーライド実装例

/********** 基本クラス **********/
class kihon {
public:
      int data;
};

/********** 派生クラス **********/
class hasei : public kihon {
public:
      int data;

      void func() {
            data = 10;                  // 派生クラスのdataにアクセス
            this->data = 10;            // 派生クラスのdataにアクセス
            kihon::data = 10;           // 基本クラスのdataにアクセス
            ((kihon*)this)->data = 10;  // 基本クラスのdataにアクセス
   }

};

void main() {
      hasei b;
      b.func();
}

このプログラムには、
基本クラスとその派生クラスにdata変数があります。

オーバーライドされているため、
派生クラスからは、通常、派生クラスで再定義した
dataにしかアクセスできません。

しかし、スコープ解決演算子(::)を使うと
基本クラスのdataにアクセスできるようになります。

また、キャストを使う事によっても
アクセスできるようになっています。

thisによる派生クラスのポインタを
基本クラスのポインタにキャストする事によって実現しています。

もし、基本クラスのdataがprivate指定だった場合は、
その派生クラスからはアクセスできないので、
変数のオーバーライドにはなりません。